千葉県匝瑳市出身の左腕投手、及川雅貴選手をご存知でしょうか?
現在、阪神タイガースで活躍する彼は、高校時代に「高校BIG4」の一人として大きな注目を集めた投手です。
最速153km/hの速球を武器に、中学時代からU-15日本代表に選出されるなど早くから頭角を現した及川雅貴選手。
横浜高校では1年生から甲子園の舞台を踏み、世代を代表する左腕として期待を集めました。
しかし、高校生活は必ずしも順風満帆ではなく、制球難に苦しむ時期もあったようです。
そんな及川雅貴選手は2019年のドラフト会議で阪神タイガースから3位指名を受けてプロ入りし、主に中継ぎとして実績を積み上げてきました。
2023年にはアジアプロ野球チャンピオンシップの日本代表に選出されるなど、着実にステップアップを続けています。
今回は、そんな及川雅貴選手の学生時代からプロでの活躍、「高校BIG4」と呼ばれた背景までをじっくりとご紹介します。若き左腕の成長の軌跡を辿ってみましょう。
及川雅貴の学歴
及川雅貴選手は千葉県匝瑳市(旧八日市場市)出身で、地元の小・中学校を経て、野球の名門・横浜高校へと進学しました。
学生時代から非凡な才能を持っていた彼の足跡を追ってみましょう。
小学生時代
画像引用元:日刊スポーツ
及川雅貴選手は匝瑳市立須賀小学校に通っていました。
野球を始めたのは小学3年生のとき。きっかけは周囲の人に勧められたことだったそうです。
「須賀スポーツ少年団」に所属して野球を始めた及川雅貴選手は、小学6年生という若さで「千葉ロッテマリーンズジュニア」に選出されています。
幼い頃から野球の才能が開花していたことがうかがえますね。
当時の及川雅貴選手は読売ジャイアンツのファンで、特に内海哲也投手(当時)を好きな選手として挙げていたそうです。
左投手として活躍する姿に憧れていたのかもしれませんね。
すでにこの頃から、「将来の夢はプロ野球選手になること」と明確な目標を持っていたようです。
中学生時代
画像引用元:BASEBALL GATE
中学校は地元の匝瑳市立八日市場第二中学校に進学した及川雅貴選手。
この時期に硬式野球チーム「匝瑳リトルシニア」に所属し、本格的な野球の技術を磨いていきました。
中学3年生の時には、その実力が認められてU-15日本代表に選出。
2016年に開催された第3回WBSC U-15ベースボールワールドカップでは、チームのエースとして準優勝に大きく貢献し、大会最優秀防御率を受賞という快挙を成し遂げています。
この頃から、最速140km/hを超える速球を投げる「スーパー中学生」として野球関係者の間で注目を集めるようになりました。
中学生でこのスピードは驚異的ですよね。すでにこの時点で、プロ野球スカウトの目に留まる存在だったことは間違いないでしょう。
高校生時代
画像引用元:スポニチSponichiAnnex
中学時代の活躍が認められ、及川雅貴選手は野球の名門・横浜高等学校に進学します。
横浜高校といえば、松坂大輔選手や筒香嘉智選手など、数多くのプロ野球選手を輩出してきた高校野球の強豪校です。
横浜高校では1年生の春からベンチ入りを果たした及川雅貴選手。
1年夏には早くも甲子園の舞台を踏み、秀岳館高校戦でリリーフ登板し、3回無失点と好投を見せました。
高校デビュー1年目から甲子園で実力を発揮できるのは、並大抵のことではありません。
2年生の秋からはエースナンバー(背番号1)を任され、神奈川県大会では優勝、関東大会ではベスト8入りに貢献しています。
この時期の活躍は目覚ましく、横浜創学館戦では9回3安打12奪三振の完封勝利、東海大相模戦では9回5安打13奪三振2失点完投と、素晴らしい投球を披露しました。
高校生活は順風満帆かと思われましたが、3年生の春には制球難に苦しみ、一時的にエースナンバーを剥奪されるなど苦しい時期も経験します。
春の選抜大会では初戦敗退、夏の神奈川大会では準々決勝敗退と、最後の夏を甲子園で締めくくることはできませんでした。
しかし、最速153km/hを記録するなど、そのポテンシャルの高さは多くのスカウトに評価され続けました。
高校時代の公式戦通算成績は31試合110.1回、防御率3.43。奪三振は146を記録しています。
「高校BIG4」の一人として活躍
画像引用元:Timely!
及川雅貴選手は高校時代、星稜高校の奥川恭伸選手(現ヤクルト)、大船渡高校の佐々木朗希選手(現ロッテ)、創志学園高校の西純矢選手(現阪神)と共に「高校BIG4」と称されていました。
この4人は2019年の高校3年生時に全国屈指の投手として注目を集めた逸材たちです。
彼らはU18日本代表候補合宿で共に選出されるなど交流があり、お互いをライバルとして強く意識していたようです。
特に紅白戦では佐々木選手が163km/hを記録するなど、ハイレベルな競争が繰り広げられていました。
及川雅貴選手は、他の3人と比べると「完成度」では少し後れを取ると評されることもありましたが、左腕としての潜在能力の高さは群を抜いていました。
プロのスカウトからは「タイプとしては(マリナーズの)菊池雄星。身体能力も非常に高い」「投げるときの走るバネ、バランスが良い」など、高い評価を受けていました。
興味深いのは、4人それぞれの特徴と成長曲線の違いです。
佐々木選手は高校時代から「完成形」に近い投手として、奥川選手は技術的に洗練された投手として、西選手は安定感のある投手として、そして及川選手はポテンシャルの高い投手として評価されていました。
野球の才能の開花の仕方は人それぞれで、同じ「BIG4」と呼ばれながらも、各々の個性があったのですね。
なお、ドラフトでは他の3人が1位指名だったのに対し、及川雅貴選手は3位指名でした。
この差が彼の心に火をつけ、「プロに入ってから追い抜かしたい」という強い動機につながったのではないでしょうか。
プロでの経歴

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画像引用元:SPAIA
2019年10月17日のドラフト会議で、及川雅貴選手は阪神タイガースから3巡目指名を受けてプロ入りしました。
契約金約5000万円、年俸約600万円での入団で、背番号は「37」に決まりました。
同じドラフトで、「高校BIG4」の一人である西純矢選手も阪神に入団し、チームメイトになったのは興味深い縁ですね。
プロ1年目となる2020年は二軍で実戦経験を積み、ウエスタン・リーグでは9試合に登板して2勝4敗、防御率6.00という成績でした。
一軍デビューは翌2021年5月28日の埼玉西武ライオンズ戦。
この年は中継ぎとして39試合に登板し、2勝3敗10ホールド、防御率3.69と安定した投球を見せました。
2021年5月30日には、プロ初勝利も挙げています。
「高校BIG4」の中では最も遅い初勝利となりました。
奥川選手が4月8日、西選手が5月19日、佐々木選手が5月27日にそれぞれ初勝利を挙げており、及川雅貴選手は「大トリ」での白星となりました。
これについて彼は「同級生、同期としてうれしい気持ちもありましたが、一番は負けていられないなという気持ちが強かった」とコメントしており、ライバル意識の強さがうかがえます。
2022年は一軍登板が1試合にとどまりましたが、2023年には本格的に中継ぎとして定着。
33試合に登板して3勝1敗7ホールド、防御率2.23という素晴らしい成績を収めました。
この年は秋に開催されたアジアプロ野球チャンピオンシップの日本代表にも選出され、チームの金メダル獲得に貢献しています。
2024年には、それまでの中継ぎから先発にも挑戦。
9試合(うち5先発)に登板し、1勝3敗、防御率2.76の成績を残しました。
7月31日の読売ジャイアンツ戦では先発として初勝利を挙げ、同時にプロ初安打・初打点も記録するなど、攻守に活躍しました。
そして現在の2025年シーズンは、5月16日時点で18試合に登板し、3勝1敗9ホールド、防御率0.49と素晴らしい成績を残しています。
これまでの経験を生かした安定感のある投球で、チームの勝利に大きく貢献しているようです。
通算成績を見ると、これまで99試合に登板し、9勝8敗26ホールド、防御率2.69という好成績。
最近では、2024年の秋季キャンプで藤川球児スペシャルアシスタントからアドバイスを受け、投球フォームの改善に取り組むなど、常に向上心を持って取り組んでいる姿勢が印象的です。
日本代表経歴
画像引用元:SAMURAI JAPAN
及川雅貴選手は若い頃から日本代表に選出されるなど、国際舞台での経験も豊富です。
まず、中学3年生だった2016年にはU-15日本代表に選出され、第3回WBSC U-15ベースボールワールドカップに出場しています。
この大会ではエースとして準優勝に貢献し、大会最優秀防御率を受賞するという素晴らしい成績を残しました。
中学生という若さで国際大会のマウンドに立ち、結果を残したことは、彼の将来性を感じさせるエピソードですね。
高校時代にはU-18日本代表候補合宿に参加しています。
ここでは「高校BIG4」と呼ばれる他の3人(奥川恭伸選手、佐々木朗希選手、西純矢選手)とも交流があったようです。
そして、プロ入り後の2023年には、アジアプロ野球チャンピオンシップの日本代表(侍ジャパン)に選出されました。
このトーナメントでは日本代表として活躍し、チームの金メダル獲得に貢献しています。
トップレベルの国際大会で活躍できたことは、彼のキャリアにとって大きな糧になったことでしょう。
若い頃から国際舞台で経験を積んできた及川雅貴選手。
今後も侍ジャパンのユニフォームを着る機会があれば、その実力を遺憾なく発揮してくれることでしょう。
WBCや国際大会での彼の活躍が見たいですね。
まとめ
今回は、阪神タイガースで活躍する左腕投手・及川雅貴選手の学歴と経歴についてご紹介しました。小学3年生で野球を始め、中学時代にはU-15日本代表として活躍、高校時代は「高校BIG4」の一人として注目を集めるなど、若い頃から非凡な才能を発揮してきた彼の軌跡を辿りました。
及川雅貴選手の魅力と実力を整理し、ポイントを簡単にポイントをまとめたいと思います。
- 千葉県匝瑳市出身で、小学3年生から野球を始め、中学時代にU-15日本代表として活躍
- 横浜高校時代は1年生から甲子園に出場し、「高校BIG4」の一人と称された
- 最速153km/hの速球を武器とする本格派左腕投手
- 2019年のドラフトで阪神タイガースから3位指名を受けてプロ入り
- プロ入り後は主に中継ぎとして実績を積み、2024年からは先発にも挑戦
- 2023年にはアジアプロ野球チャンピオンシップの日本代表として金メダル獲得に貢献
- 2025年シーズンは防御率0.49(5月16日時点)と素晴らしい活躍を見せている
及川雅貴選手の経歴を振り返ると、常に「成長」という言葉が頭に浮かびます。
高校時代は制球難に苦しんだ時期もありましたが、プロ入り後は着実に力をつけ、今では阪神の中継ぎ陣の要として活躍しています。
同時に、先発としても経験を積み、多様な役割をこなせる投手へと成長しています。
また、「高校BIG4」と呼ばれた奥川恭伸選手、佐々木朗希選手、西純矢選手とのライバル関係も、彼の成長を促す大きな要因になっていると感じます。
特に同じ阪神の西純矢選手とは日々切磋琢磨する関係にあり、お互いの存在が刺激になっているのではないでしょうか。
今後の及川雅貴選手の活躍に注目です。
阪神タイガースの優勝に貢献するだけでなく、日本代表として国際舞台でも活躍する姿を期待しています。
彼の速球が世界を驚かせる日も、そう遠くないかもしれませんね。