野茂英雄さんが今から29年前の1995年に当時の近鉄バッファローズからロサンゼルス・ドジャースに移籍してから「日本プロ野球の門戸」が開かれました。
それまでは日本人選手がMLBで活躍するという事は考えられませんでしたが、野茂英雄さんの活躍により多くの日本人投手がMLBへ挑戦するようになりました。
そして、2001年にイチロー選手が野手として初めてMLBに挑戦。
それまで日本人のピッチャーはMLBでも通用するが、パワー全盛のメジャーリーグにおいて日本人が活躍する場はないと言われていましたが、10年連続200本安打、年間最多安打記録262本など数々の記録を塗り替える活躍を見せ、今ではMLBは非常に身近な存在に感じるようになりました。
この記事では現時点で将来MLBでの活躍が期待される選手、またMLBに移籍する際に選手が利用するFAやポスティングシステムの仕組みについても詳しく解説していきたいと思います。
Contents
今後、MLBに挑戦する可能性がある選手!
今オフ(2024年オフ)にFAやポスティングシステムを利用しMLBに挑戦する可能性のある選手を除き、将来的にMLBへの挑戦、そして活躍が期待される若い選手5人にフォーカスして紹介してきたいと思います。
大関友久(福岡ソフトバンクホークス)
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- ポジション:投手
- 投打:左投左打
- 身長/体重:184cm/94kg
- 生年月日:1997年12月14日
- 経歴:土浦湖北高 – 仙台大
- ドラフト:2019年育成選手ドラフト2位
福岡ソフトバンクホークスの大関友久選手はスライダー・フォークを軸に、最速152キロの速球で空振りも奪える左のパワーピッチャーです。
育成出身のプロ5年目という若い選手ではありますが、4年目の2023年には開幕投手を務めるなど成長が著しい選手です。
福岡ソフトバンクホークスでは、これまで工藤公康、杉内俊哉らが背負った左のエース番号「47」を背負っており、将来のエース候補として期待されています。
大関友久選手は、2023年オフの契約更改の場で、将来的なメジャー挑戦希望を球団に伝えました。
大谷翔平選手をはじめとした日本人選手の活躍を見て、自分もそうなりたいと思ったそうです。
大関友久選手が所属している福岡ソフトバンクホークスから、育成出身でメジャーリーグに挑戦している千賀滉大選手ともメジャーリーグの話をしていたそうです。
メジャーリーグに挑戦するにはまだ実力も実績も足りていないことは自覚しているそうで、3年後に挑戦したいという思いを持っているそうです。
育成出身にもかかわらず、入団4年目で開幕投手を務める成長スピードは驚異的です。
今後もすさまじいスピードで成長していくことでしょう!
大勢(読売ジャイアンツ)
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- ポジション:投手
- 投打:右投右打
- 身長/体重:183cm/90kg
- 生年月日:1999年6月29日
- 経歴:西脇工 – 関西国際大
- ドラフト:2021年ドラフト1位
読売ジャイアンツの大勢選手は、サイドスローに近いスリークォーターの変速フォームから最速160キロの威力ある直球が持ち味で、フォーク、スライダーを操ります。
入団時には、読売ジャイアンツ初の名前のみの登録名ということで話題を呼びました。
さらに、ルーキーながら開幕戦でクローザーを担い、初セーブを挙げました。これは40年ぶりの記録でした。
翌2023年のWBCでは日本代表に選ばれ、4回を投げ無失点と好投しました。
このWBCに出場したことで、メジャーリーグ挑戦の気持ちが芽生えたそうです。
「メジャーリーガー相手に投げてみて、正直、格好良かった。」と語っています。
しかし、WBC後のシーズンでは故障により思ったような活躍が出来ませんでした。まずは日本でしっかりとした結果を残してほしいです。
まだ3年目と若いながら多くの注目を集めているので、将来メジャーリーグへ挑戦することは大いにあると思います。今後の活躍に期待です!
森下暢仁(広島カープ)
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- ポジション:投手
- 投打:右投右打
- 身長/体重:180cm/81kg
- 生年月日:1997年8月25日
- 経歴:大分商 – 明治大
- ドラフト:2019年ドラフト1位
広島カープの森下暢仁選手は、最速156キロのストレートや緩急をつけたカーブ、チェンジアップ、カットボールを操ります。
コントロールがとても良く、制球力が持ち味です。1年目から先発ローテーションに入り、10勝3敗、防御率1.91の活躍で新人王を獲得しました。
その後も8勝(2021年)、10勝(2022年)、9勝(2023年)とコンスタントに好成績を残しています。
森下暢仁選手は、2023年オフの契約更改の席で球団に将来的なメジャー挑戦の希望を伝えました。長年の夢だったそうです。
しかし、鈴木球団本部長は「実際に過去の挑戦した選手に並ぶくらいの成績を挙げてもらい、みんなが後押しするような存在になってからの話」と話しました。
同じ広島カープからポスティングシステムを利用してメジャーリーグ挑戦をしたデトロイト・タイガースの前田健太選手は、6年連続2桁勝利をあげており、特に移籍前年は15勝8敗という素晴らしい成績を残しました。
このくらいの成績を残してからになりますと、メジャー挑戦はまだ先になるように感じます。
みんなに後押しされるような存在を目指し、今後も活躍を続けてほしいですね!
山下舜平太(オリックス・バファローズ)
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- ポジション:投手
- 投打:右投右打
- 身長/体重:190cm/100kg
- 生年月日:2002年7月16日
- 経歴:福岡大大濠高
- ドラフト:2020年ドラフト1位
オリックス・バファローズの山下舜平太選手は、190センチの長身から最速160キロのストレート、カーブ、フォークを投げ分けるピッチャーです。
入団3年目の2023年には公式戦未登板ながら開幕投手を務めました。
そして2023年は16試合に登板して9勝3敗、防御率1.61の成績を残し、新人王に輝きました。
まだ1年しか活躍しておらず実績があるとは言えない山下舜平太選手ですが、メジャーリーグ公式サイトが掲載した「次期MLBエースになる可能性のある日本人先発投手5人」の中の1人に選ばれました。
球速や奪三振、与四球が評価されていましたが、中でもまだ21歳であるという点が最も評価されていました。この若さでこの成績ですから、今後メジャーリーグで活躍すると考えられたのでしょう。
山下舜平太選手の他には、佐々木朗希選手、平良海馬選手、高橋光成選手、中日ドラゴンズの高橋宏斗選手が選ばれました。この中に入るということはかなり注目度が高いことがわかります。
また、メジャー関係者の間では「ネクスト山本由伸」と言われており、山下舜平太選手の登板を見にメジャーリーグの球団スカウトが訪れることもあるそうです。まだ1年間しか活躍していないのにすごい注目度ですね。
そして山下舜平太選手本人もメジャーリーグへの思いは強いようです。パドレスのダルビッシュ有選手に強い憧れがあり、背番号11もダルビッシュ有選手がつけていたからという理由で選んだそうです。
外食やお酒にまったく興味がなく、キャンプには私服をもっていかないなど大谷翔平選手を彷彿とさせる山下舜平太選手。
まだ21歳ですのでメジャーリーグ挑戦はまだまだ先のことかもしれませんが、きっと世界で活躍するピッチャーになることでしょう!
高橋宏斗(中日ドラゴンズ)
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- ポジション:投手
- 投打:右投右打
- 身長/体重:186cm/86kg
- 生年月日:2002年8月9日
- 経歴:中京大中京高
- ドラフト:2020年ドラフト1位
中日ドラゴンズの高橋宏斗選手は、松坂大輔さん以上の威力があると言われている最速158キロのストレートが武器の剛腕ピッチャーです。
2年目の2022年シーズンには先発ローテーション入りを果たして6勝をあげ、リーグ3位の134奪三振を記録しました。
そして2023年のWBCで日本代表に最年少に選出され、3試合に登板し1失点という結果でした。
高橋宏斗選手も、先ほど紹介したメジャーリーグ公式サイトの「次期MLBエースになる可能性のある日本人先発投手5人」の1人に選ばれました。
WBCで活躍したことで注目されたのではないでしょうか。また、侍ジャパンの井端弘和監督も「将来的にはメジャーに行って活躍する投手になれる素材と思っている」と高橋宏斗選手のポテンシャルを高く評価しています。
ただ、高橋宏斗選手本人はまだ日本でやるべきことがたくさんあると語っており、メジャーリーグへの思いはまだ公言していません。
まだ21歳なので、今後思いも変わってくると思います。ポテンシャルの高さは世界が認めていますので、まずはしっかりと日本で結果を残してほしいですね!
「FA」とは?
FAとはフリーエージェントのことで、どの球団とも選手契約を結べる権利をもつ選手のことを言います。
NPBが定めた規定に達するとFA権を取得でき、他球団とも交渉することができるようになります。
FAには、NPB所属球団と契約できる「国内FA」と海外を含めたすべての球団と契約できる「海外FA」の2種類があります。国内FAと海外FAは取得できる条件が異なります。詳しく説明します。
「国内FA」
その年のシーズン開始から終了までの間に、145日以上で一軍登録され、それが8シーズンに達すると権利を取得できます。(2007年以降に入団した大学社会人出身選手は7シーズンで取得できます)また、国内FA宣言をして移籍をした選手は、シーズン中に145日以上で一軍登録され、それが4シーズンに達すると海外FA権が取得できます。
「海外FA」
その年のシーズン開始から終了までの間に、145日以上一軍登録され、それが9シーズンに達すると取得できます。また、海外FA宣言をして移籍をした選手は、シーズン中に145日以上で一軍登録され、それが4シーズンに達すると再び海外FAが取得できます。
※シーズンの一軍登録日数が145日を超えても、145日までしかカウントされません
※シーズン中の一軍登録日数が145日以下の場合は、それらのシーズンの一軍登録日数を合計して、145日に達した日数を1シーズンとします
FAは選手の権利であり、球団が阻止することはできません。
「ポスティングシステム」とは?
最短でも9シーズン活躍して海外FA権を取得しないとメジャーリーグ挑戦にできないというわけではありません。
大谷翔平選手は日本球界で5年間しかプレーしていないにもかかわらずメジャーリーグに移籍しました。
ポスティングシステムを利用すればFA権を取得しなくてもメジャーリーグに挑戦できます。今年からメジャーリーグに挑戦した山本由伸や今永昇太選手もポスティングシステムを利用しての移籍でした。近年はこういったパターンが増えてきています。
ポスティングシステムとは、海外FA権を取得していない選手の海外移籍を可能にする制度です。
海外FA権を取得していないが、海外移籍を希望する選手に対して、メジャーリーグ球団が金銭のみの入札を行います。
その中で一番高い金額を提示した球団に交渉権が与えられるという制度になります。
しかし、ポスティングシステムは日本球団が移籍を容認した場合のみ行われます。日本球団は選手の意志に関わらず一方的に拒否することができるということです。
また、メジャーリーグ球団が選手と契約した場合、入札金額は選手が所属していた日本球団に全額支払われます。そのため、しっかりと成績を残してからポスティングシステムを利用してほしいと球団は考えるわけですね。
ポスティングシステムも選手の権利ではありますが、球団が認めないと利用出来ないという点がFAとの違いです。
福岡ソフトバンクホークスはポスティングシステムの利用を認めていません。
また、ポスティングシステムが認められやすい球団と認められづらい球団があることからも、球団に拒否権があるということが分かりますね。
まとめ
今回の記事では、今後MLBへの挑戦が期待される若手選手、FAやポスティングシステムの仕組みについて詳しく紹介してきました。最後に簡単にまとめます。
【今後メジャー挑戦が期待される選手】
- 大関友久選手
- 大勢選手
- 森下暢仁選手
- 山下舜平太選手
- 高橋宏斗選手
- 国内FAは最短で8シーズン、海外FAは最短で9シーズンで取得できる選手の権利である。
- ポスティングシステムは球団が認めれば利用できる海外移籍制度で、最近は多くの選手が利用してメジャー挑戦している。
WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では過去5回開催の内、3回世界一に輝くなど日本の野球レベルは確実に上がっています。
大谷翔平選手がMLB史上最高額での契約をするなど、MLBの中でも日本人選手に対する考え方や見方は大きく変わってきているのではないでしょうか。
今後も多くの日本人選手が海の向こうで活躍することは間違いないと思います!!