メジャーリーグの2024年シーズンが終わり、各賞の行方に注目が集まっています。
なかでも大谷翔平選手のナ・リーグMVP受賞の可能性について、野球界全体で大きな議論を呼んでいます。
もし受賞すれば、史上2人目となる両リーグでのMVP受賞を達成することになります。
さらに、指名打者(DH)での受賞は前例がなく、こちらも歴史的な快挙となります。
この記事では、大谷翔平選手のMVP受賞の可能性や、指名打者(DH)での受賞者が今までにいなかった理由などについて詳しく解説していきたいと思います。
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両リーグMVP受賞者はフランク・ロビンソンのみ
2024年シーズンは右ひじのリハビリもあり打者に専念している大谷翔平選手ですが、目指すは2年連続、そして両リーグでのMVP受賞です。
過去に両リーグでMVPを受賞した選手は長いMLBの歴史の中でもフランク・ロビンソンさんただ1人で、大谷翔平選手が今シーズン受賞すると、58年ぶり史上2人目の快挙となります。
フランク・ロビンソンとは?
画像引用元:People
1961年にナ・リーグで、1966年にア・リーグでMVPを受賞し両リーグでのMVPに輝いたフランク・ロビンソンさんについて解説してみたいと思います。
【プロフィール】
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【経歴】
- 1956年:メジャーデビュー、新人王獲得
- 1961年:ナ・リーグのシンシナティ・レッズでMVP受賞
- 1966年:三冠王(打率、本塁打、打点)獲得
- 1966年:ア・リーグのボルティモア・オリオールズでMVP受賞
- 1975年:クリーブランド・インディアンスの選手兼監督に就任(リーグ史上初のアフリカ系米国人監督就任)
- 1976年:現役引退
- 1982年:アメリカ野球殿堂入り
選手としてはボルティモア・オリオールズでワールドシリーズを2度制覇し、歴代10位の586本塁打の記録を持っています。
ジャッキー・ロビンソン氏がアフリカ系米国人初のメジャーリーガになった1947年から30年が経とうとした時に、フランク・ロビンソン氏はアフリカ系米国人初の監督に就任しました。
フランク・ロビンソン氏は6球団を指揮してきましたが、残念ながら監督としてはワールドシリーズを制覇することはできませんでした。
指名打者(DH)での受賞者がいない理由は?
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過去にエドガー・マルティネス、デービット・オルティスなど優秀な指名打者でも守備に就かずにMVPを受賞した選手はいません。
どうして今までに好成績を残した選手でも指名打者(DH)の選手がMVPを受賞できなかったのでしょうか?
MLBの歴史において、指名打者がMVPを受賞できなかった背景には、いくつかの要因があります。
最も大きな理由は、守備面での貢献度の評価です。
DHは打撃に特化したポジションであり、守備での貢献がないため、総合的な選手価値という観点では不利な立場に置かれてきました。
また、DHには通常の野手以上に高い打撃成績が期待されます。
守備での貢献がない分、打撃面で他の選手を圧倒的に上回る成績を残す必要があるのです。
さらに、MVPの投票者には守備も含めた総合力を重視する傾向があり、DHに対する無意識のバイアスも存在すると言われています。
大谷翔平選手がDHで史上初のMVPを受賞できる可能性は?
画像引用元:Number
大谷翔平選手の2024年シーズンは、これまでのDHの概念を覆すような圧倒的な活躍でした。
MLB史上初となる記録を複数達成し、DHというポジションの価値を大きく引き上げることに成功しています。
圧倒的な今シーズンの成績
2024年シーズン、大谷翔平選手は54本塁打、130打点でリーグ2冠を達成。
打率.310、OPS1.036という素晴らしい打撃成績を残しました。
特筆すべきは、打撃の質の高さだけでなく、159試合という安定した出場数を記録したことです。
これは、チームへの貢献度の高さを示す重要な指標となっています。
歴史的な活躍
大谷翔平選手は今シーズン、MLB史上初となる「50-50」(50本塁打50盗塁)を達成。
最終的に54本塁打59盗塁という驚異的な数字を残しました。
さらに、日本人選手初のトリプルスリー(打率.300以上、30本塁打以上、30盗塁以上)も達成。
これらの記録は、パワーとスピードを兼ね備えた稀有な才能の証明となっています。
大谷翔平選手はDHでもWARが高い!
大谷翔平選手がMVPを獲得する上で追い風となるかもしれない指標の一つが「WAR」です。
近年WARに対する認知度も高くなり、昨年までの5シーズンでは両リーグ合わせてWAR1位の選手が3人、3位以内の選手9人がMVPを受賞するという結果も出ています。
シーズン終了時点で指名打者(DH)の選手がリーグのWAR1位となれば、こちらも史上初となり、大谷翔平選手のMVP受賞の可能性も出てくるのではないでしょうか。
また近年ではSNS等でも「WAR」を重要視する風潮もあり、投票者はWARに準拠して無難な選考を行うケースも増えているようです。
投票者の主観がSNS上で罵詈雑言のターゲットにされるケースがしばしば発生し、そういったリスクを避けるためWARに準拠する“無難な選考”に落ち着くという流れだ。リン記者は「そういった(SNS上での)面倒なことを嫌がる投票者はいる」と話す。
引用:Nunber Web
「WAR」とは?
WAR(Wins Above Replacement)は、選手の総合的な貢献度を示す指標で、選手のチームに何勝分貢献したかを数値化したものになります。
打撃、走塁、守備(ポジションは関係ない)、投球など選手のあらゆる側面を評価に含めた総合指標です。
指名打者(DH)の選手が「WAR」で1位となるのが難しのは、守備をしないというビハインドがあるにも関わらず、総合数値でチームへの貢献度が高いという事になるからです。
WARの目安ですが、
5.0以上 | スター選手 |
3.0以上 | 超一流選手 |
2.0以上 | 一流選手 |
0.0以上 | 良い選手 |
マイナス | 一軍で活躍できていない選手 |
ちなみに、昨年2023年の大谷翔平選手のWARは「10.0」、MLB全体でトップの数値となりました。大谷翔平選手の活躍がチームへ10勝分貢献したということを意味する数値となります。
他のMVP候補選手は?
大谷翔平選手のライバルとして、フランシスコ・リンドア(メッツ)、ロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)、ムーキー・ベッツ(ドジャース)、フレディ・フリーマン(ドジャース)、マルセル・オズナ(ブレーブス)などが挙げられます。
これらの選手たちは、守備力を含めた総合的な活躍で評価を得ていますが、大谷翔平選手の歴史的な記録と圧倒的な打撃成績を考慮すると、現時点では大谷翔平選手が最有力候補とされています。
大谷翔平選手のMVP可能性に世間の声は?
大谷翔平選手のMVP受賞可能性について、世間の反応は概ね肯定的です。
多くの専門家や記者が、史上初の50-50達成やトリプルスリー達成など、歴史的な記録を高く評価しています。
また、WARなどの客観的指標でもリーグトップクラスの成績を残していることから、データ面でも高い評価を得ています。
一方で、DHとして守備に貢献していない点を指摘する声も存在します。
また、チーム成績があまり良くない点を挙げ、MVPには値しないという意見も一部にあります。
しかし、これらの意見は少数派であり、大谷選手の歴史的な活躍を評価する声が大勢を占めています。
大谷翔平
DHなのにWAR衝撃の「9.1」
打者だけで上回った二刀流
叩き出す歴史的数値指名打者として出場した歴代最高はマルティネスの1995の「7.0」
WARは下がる可能性があるものの今季歴代最高記録を更新することはほぼ確実
史上初となる指名打者のMVPに期待がかかる
https://t.co/ADA5U7EHYu— かっくん (@kakunn) September 29, 2024
大谷翔平選手歴史的なシーズン
お疲れ様でした🤗👌
前人未到3度目満票MVP可能性大❣️
メジャー初 指名打者でのMVP可能性大❣️
54-59も 誰も抜けないでしょう❣️
塁打411もすげー👏#大谷翔平選手 #両リーグMVP https://t.co/Zy1ST6hoVl— 和田Y’o (@Y71724650) September 29, 2024
まとめ
以上が、大谷翔平選手の年間MVP受賞の可能性や、指名打者(DH)の選手が受賞できなかった理由などについて詳しく解説してきました。最後に簡単にまとめたいと思います。
- MLB史上初の50-50達成(54本塁打、59盗塁)という前例のない記録を樹立
- 打率.310、130打点という高い打撃成績と159試合出場という安定感
- ナ・リーグでトップクラスのWARを記録し、DHでも高い総合力を証明
- 専門家や記者から圧倒的な支持を得ている評価の高さ
- 守備での貢献がないという唯一の課題も、歴史的記録で補って余りある活躍
これらの要素を総合的に見ると、大谷翔平選手のMVP受賞の可能性は非常に高いと言えるでしょう。
もし受賞が実現すれば、史上2人目となる両リーグでのMVP受賞と、DHでの史上初の受賞という二つの偉業を同時に達成することになります。
大谷翔平選手の2024年シーズンは、DHという立場でもMVPを獲得できるという新たな可能性を示しました。
これは単なる個人の記録更新を超えて、野球界における選手評価の価値観を変える可能性を秘めています。
歴史的な記録と圧倒的な成績を残した大谷翔平選手の活躍は、間違いなく野球の新たな歴史を創造したと言えるでしょう。