ロサンゼルス・ドジャースの山本由伸選手がサイ・ヤング賞の最終候補3名に選ばれ、野球界が注目しています。
日本人初の快挙なるか、その可能性を徹底分析。レギュラーシーズンでは防御率2.49の好成績を収め、ポストシーズンでも圧倒的な投球を披露した山本由伸選手。
果たして栄冠を手にすることができるのでしょうか。
本記事では受賞の可能性を3つの視点から探っていきます。
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山本由伸がサイ・ヤング賞を受賞する可能性
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結論から申し上げると、山本由伸選手の受賞可能性は決して低くありません。
ナショナル・リーグの最終候補3名に選出されたこと自体が大きな意味を持ちます。
日本人投手としては初めての栄誉に手が届くかもしれない状況です。
これまでダルビッシュ有選手が2度にわたって2位に入ったことはありましたが、受賞には至っていませんでした。
山本由伸選手にはその壁を打ち破るチャンスが訪れています。
ただし、ライバルの存在も無視できないでしょう。
ポール・スキーンズ選手の防御率1.97という圧倒的な数字や、クリストファー・サンチェス選手の13勝という勝利数は、記者の投票に大きな影響を与える要素です。
しかし山本由伸選手には、他の候補にはない独自の強みがあるのも事実なのです。
最終候補3人に選出!
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この選出自体が山本由伸選手の実力を証明する大きな出来事といえます。
2025年11月3日(日本時間4日)に発表された最終候補者リストに名を連ねたのです。
全米野球記者協会に所属する記者30名が投票を行い、1位から5位までの順位をつけます。
その集計結果によって受賞者が決まるシステムです。
最終候補に残ったということは、多くの記者が山本由伸選手を高く評価していることの表れでしょう。
レギュラーシーズンの成績を見ると、30試合に登板して12勝8敗という記録を残しました。
防御率は2.49と素晴らしい数字です。
さらに注目すべきは201個もの三振を奪った点でしょう。
WHIP(1イニングあたりの出塁許可率)も0.99と優秀な数値を記録しています。
何よりも印象的なのは、シーズンを通じて一度もローテーションを外れなかったことです。
チームで唯一の完全ローテーション維持は、投手としての信頼性の高さを物語っています。
この安定感が記者たちの心を動かす可能性は十分にあるのではないでしょうか。
ポストシーズンでの活躍!
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実はサイ・ヤング賞の選考では、ポストシーズンの成績は考慮されません。
レギュラーシーズンの投球内容のみが評価対象となるのです。
しかしながら、山本由伸選手はポストシーズンで圧倒的な存在感を示しました。
6試合の登板で5勝を挙げ、ワールドシリーズMVPを獲得しています。
特にワールドシリーズ第7戦では、中0日で9回途中から登板し、11回まで無失点に抑えるという離れ業を成し遂げました。
この活躍は記者たちの記憶に強く残っているはずです。
投票は公平であるべきですが、人間の心理として、ワールドチャンピオンチームのエースとしての印象が加点要素になる可能性も否定できないでしょう。
実際に「ワールドシリーズMVPとサイ・ヤング賞のダブル受賞」という歴史的快挙への期待も高まっています。
過去の受賞者を見ても、プレーオフでの活躍が話題になった選手が受賞するケースは珍しくありません。
直接的には評価対象外でも、間接的に影響を与えることはあり得るのです。
投球内容の質!
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数字だけでは測れない投球の質の高さが、山本由伸選手の最大の武器かもしれません。
彼の代名詞ともいえるスプリットは、空振り率が50%以上という驚異的な数値を記録しています。
先発投手が投げる単一球種としては、メジャーリーグでもトップクラスの威力です。
被打率も.183とリーグ屈指の低さを誇ります。
フォーシームとスプリットの組み合わせが絶妙で、打者は球種を見分けることが困難です。
同じリリースポイントから異なる軌道の球が来るため、タイミングを合わせることができません。
この技術は、ドジャースの大先輩であるクレイトン・カーショー選手にも通じるものがあるでしょう。
制球力の高さも特筆すべき点です。
四球の少なさがWHIP 0.99という数字に表れています。
ピンチを自ら招くことが少ないため、試合を作る能力に長けているのです。
さらに26歳という若さも見逃せません。
これだけの投球内容を20代半ばで実現していることは、将来性も含めた評価につながります。
12年という長期契約を結んでおり、投手育成に定評のあるドジャースの環境も整っているでしょう。
こうした総合的な要素が、記者たちの判断に影響を与えるかもしれません。
山本由伸のライバルとなる選手は?
受賞レースには強力なライバルが存在します。それがポール・スキーンズ選手とクリストファー・サンチェス選手です。
ポール・スキーンズ選手(ピッツバーグ・パイレーツ)は、防御率1.97という圧倒的な数字を叩き出しました。
これは両リーグで唯一の1点台という驚異的な記録です。
最優秀防御率のタイトルも獲得しており、この数字のインパクトは計り知れません。
ただし勝利数は10勝と二桁に乗せたものの、他の候補と比べると少なめです。
それでも近年はセイバーメトリクスの指標が重視される傾向にあり、防御率の圧倒的な優位性が高く評価される可能性があります。
個人的には、この1.97という数字が最大の脅威だと感じています。
クリストファー・サンチェス選手(フィラデルフィア・フィリーズ)は、最多の13勝を記録しました。
防御率も2.50と山本由伸選手と遜色ない水準です。
さらにクオリティスタート(6イニング以上3自責点以内)を22回達成し、これはリーグ最多タイとなっています。
勝利数という伝統的な指標で優位に立つ点は無視できません。
投手の役割は試合に勝つことですから、13勝という数字には説得力があります。
安定して試合を作り続けた証明でもあるでしょう。
3人の候補者はそれぞれ異なる強みを持っており、まさに三つ巴の戦いです。
スキーンズ選手の圧倒的防御率、サンチェス選手の勝利数と安定感、そして山本由伸選手の総合力。
記者たちがどの要素を最も重視するかによって結果が変わってくるでしょう。
日本人とサイ・ヤング賞の歴史
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これまで日本人投手でサイ・ヤング賞を受賞した選手はいません。
しかし多くの投手が受賞に肉薄してきた歴史があります。
最も惜しかったのはダルビッシュ有選手です。
2020年のナショナル・リーグと2013年のアメリカン・リーグで、2度も2位という成績を残しました。
これが日本人投手の最高位となっています。
2020年には8勝3敗、防御率2.01という素晴らしい成績を収めたものの、あと一歩及びませんでした。
同じく2020年には前田健太選手もアメリカン・リーグで2位に入っています。
6勝1敗、防御率2.70という安定した投球を見せました。
日本人投手が両リーグで同時に2位に入ったことは、大きな話題となったものです。
野茂英雄選手は1995年に4位という成績を残しました。
日本人メジャーリーガーの先駆者として、道を切り開いた功績は計り知れません。
新人ながら13勝6敗、防御率2.54、236奪三振という驚異的な成績で、新人王も獲得しています。
松坂大輔選手も2008年に4位に入りました。
18勝3敗という勝率.857はリーグトップで、防御率2.90も優秀でした。
この年のレッドソックスは最下位に終わりましたが、松坂選手個人の成績は光っていたのです。
そして大谷翔平選手は2022年に4位となっています。
二刀流という特殊な立場ながら、投手としても15勝9敗、防御率2.33、219奪三振という一流の成績を残しました。
こうして見ると、日本人投手は何度もサイ・ヤング賞に挑戦してきたことがわかります。
山本由伸選手がついにその壁を破る可能性があるのです。
30年以上にわたる日本人投手の挑戦が、ここに結実するかもしれません。
サイ・ヤング賞の選考方法は?
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サイ・ヤング賞の選考システムを理解することで、山本由伸選手の受賞可能性をより正確に判断できるでしょう。
この賞は1956年に創設されました。
511勝という歴史的記録を持つ伝説の投手、サイ・ヤングの功績を称えて名付けられています。
当初は両リーグから1名のみの選出でしたが、1967年からは各リーグ1名ずつ、計2名が選ばれる形式になりました。
選考を行うのは全米野球記者協会(BBWAA)に所属する記者です。
各メジャーリーグの本拠地都市から推薦された計30名が投票権を持ちます。
これはゴールドグラブ賞などとは異なり、選手や監督ではなく記者が選ぶ点が特徴的です。
投票は加重ポイント制を採用しています。
各記者は1位から5位までを選び、順位に応じてポイントが加算される仕組みです。
1位票は7点、2位票は4点、3位票は3点、4位票は2点、5位票は1点という配分になっています。
合計ポイントが最も高い投手が受賞するのです。
投票内容はすべて公開されるため、透明性が高いシステムといえます。
どの記者がどの投手に投票したかが明らかになるため、説明責任も伴うでしょう。
重要なのは、レギュラーシーズンの成績のみが評価対象という点です。
ポストシーズンでの活躍は考慮されません。
また投票はレギュラーシーズン終了後、プレーオフが始まる前に締め切られます。
これはシーズンを通じた一貫したパフォーマンスを純粋に評価するためのルールです。
選考基準に明確な数値基準はありませんが、いくつかの傾向があります。
防御率、勝利数、奪三振数といった伝統的な指標に加え、近年はWAR(勝利貢献度)やFIP(守備から独立した投球指標)などのセイバーメトリクスも重視されるようになりました。
また規定投球回の達成は、事実上の前提条件とされています。
シーズンを通してローテーションを守ることが、先発投手としての責任であり価値だと評価されるのです。
リリーフ投手の受賞が極めて稀なのも、この投球回の違いが大きな理由となっています。
受賞発表は11月12日(日本時間13日)に予定されています。
山本由伸選手にとって、歴史的な瞬間が訪れるかどうか、世界中の野球ファンが注目しているのです。
まとめ
山本由伸選手のサイ・ヤング賞受賞可能性は、十分に現実的なものとなっています。
最終候補3名への選出、レギュラーシーズンでの安定した成績、そして投球内容の質の高さが、受賞への道筋を照らしています。
ポール・スキーンズ選手の圧倒的な防御率という強敵は存在しますが、山本由伸選手の総合力も決して引けを取りません。
日本人初のサイ・ヤング賞受賞という歴史的快挙が実現する日が、もうすぐそこまで来ているかもしれないのです。


