メジャーリーグベースボール(MLB)で活躍する日本人選手の存在感が年々増しています。
イチローさんや松井秀喜さんといった先駆者たちが切り開いた道を、現在は大谷翔平選手や山本由伸選手といった選手たちが新たな高みへと押し上げています。
特に注目すべきは彼らの経済的価値の高まりで、近年の日本人選手たちはMLB史上でも最高クラスの年俸を獲得するようになりました。
本記事では、2025年現在の最新情報に基づいた日本人MLB選手の歴代最高年俸ランキングをご紹介します。
単に金額を列挙するだけでなく、各契約の背景や意義、選手のキャリアにおける位置づけなども交えながら解説していきます。
大谷翔平選手の驚異的な7億ドル契約から、平成の怪物・松坂大輔選手の契約まで、MLBにおける日本人選手の経済的価値の歴史をたどってみましょう。
なお、年俸額は米ドル表記を基本とし、特殊な契約構造を持つ選手については、その詳細も説明していきます。
Contents
日本人MLB歴代最高年棒は大谷翔平とダルビッシュ有
MLB全体を見渡しても驚異的な数字を記録している日本人選手の年俸。
特に2023年オフから2024年オフにかけて、これまでの常識を覆すような大型契約が相次いでいます。
その頂点に立つのが、大谷翔平選手とダルビッシュ有選手です。
大谷翔平
画像引用元:full-Count
- 最高年俸:3000万ドル(約45億円)
- 対象年度:2023年
- 所属チーム:ロサンゼルス・エンゼルス
野球界に「二刀流」という新たな地平を切り開いた大谷翔平選手。
2023年シーズン終了後にFAとなった彼は、ロサンゼルス・ドジャースと10年総額7億ドル(約1050億円)という、スポーツ史上最高額と言われる契約を結びました。
この契約の最大の特徴は、総額の97%にあたる6億8000万ドル(約984億円)が契約期間終了後の2034年から10年間にわたって支払われる「後払い方式」を採用している点です。
これにより、契約期間中の大谷翔平選手の年俸はわずか200万ドル(約2億9000万円)に抑えられています。
しかし、MLB選手の市場価値を示す指標としては、平均年俸(AAV)の7000万ドルが最も適切でしょう。
この数字はMLB歴代最高額であり、大谷翔平選手がリーグ随一の価値を持つ選手であることを証明しています。
実は大谷翔平選手は、ドジャースへの移籍前の2022年10月にエンゼルスと年俸3000万ドル(約43億4000万円)の1年契約で合意していました。
この契約は、年俸調停を回避して1年契約を結んだ選手としては当時の史上最高額であり、前年の550万ドルから一気に6倍近い金額にジャンプしました。
これにより、当時は日本人メジャーリーガー歴代最高額の年俸記録を更新。
この3000万ドルという数字が、後にダルビッシュ有選手と並ぶ日本人最高年俸として記録されることになりましたので、この記録で今回の順位はカウントしています。
ドジャース移籍後の2024年シーズンは、打者に専念して54本塁打・59盗塁を記録し、MLB史上初の「50-50」を達成。
この偉業により、彼は野球界の歴史に新たな1ページを刻みました。
チームもワールドシリーズを制覇し、MVPも獲得するなど、すでに契約に見合う活躍を見せています。
また、大谷翔平選手の経済効果は当初の予想を大きく上回っているようです。
ドジャースは大谷翔平選手の加入後、日本企業4社との新たなスポンサー契約を結び、グッズ販売や観客動員も大幅に増加。
現地メディアによれば、すでに1シーズンで1億2000万ドル(約185億円)もの収益をもたらしているとの報道もあります。
「お金より勝利を」という姿勢で後払い契約を選んだ大谷翔平選手の心意気に感銘を受けますね。
彼の存在は単なる野球選手の枠を超え、MLBの経済構造さえも変えてしまうほどのインパクトを持っているのです。
この契約は、将来的には「むしろ安い買い物だった」とさえ言われる可能性を秘めています。
ダルビッシュ有
画像引用元:J Sports
- 最高年俸:3000万ドル(約45億円)
- 対象年度:2023年
- 所属チーム:サンディエゴ・パドレス
日本人投手の第一人者として長年MLBで活躍してきたダルビッシュ有選手。
2012年にテキサス・レンジャーズでMLBデビュー後、シカゴ・カブスを経て現在はサンディエゴ・パドレスでエースとして君臨しています。
2023年シーズン前に締結した6年総額1億800万ドルの大型契約により、2023年の年俸(契約金含む)は3000万ドル(約45億円)に達しました。
これは当時の日本人選手としては大谷翔平選手と並ぶ歴代最高年俸でした。
多彩な変化球と高い奪三振能力を武器に、30代半ばを過ぎた今もなお高いレベルのピッチングを維持しているダルビッシュ選手。
若手時代には故障に苦しんだ時期もありましたが、その逆境を乗り越えての高額契約は、彼の技術と精神力が高く評価された証と言えるでしょう。
シカゴ・カブス時代の2020年には最多勝を獲得し、サイ・ヤング賞投票で2位に入るなど、常に一流の投手としての地位を確立しています。
長年に渡って安定したパフォーマンスを続けている点は、本当に素晴らしいと思います。
日本人メジャーリーガー歴代年俸3位~5位
ランキング上位にはさまざまな時代の選手が含まれています。
それぞれの時代で高い評価を受け、破格の契約を結んだ選手たちを見ていきましょう。
多くの選手が日本球界で素晴らしい実績を残した後にMLBでも高い評価を受けており、日本のプロ野球の質の高さを示しているとも言えます。
3位:田中将大
画像引用元:THE ANSWER
- 最高年俸:2200万ドル(約33億円)
- 対象年度:2014年-2019年
- 所属チーム:ニューヨーク・ヤンキース
NPB東北楽天ゴールデンイーグルスで24勝0敗という伝説的なシーズンを送った後、2013年オフにポスティングシステムでヤンキースと7年総額1億5500万ドル(約232.5億円)の大型契約を締結した田中将大選手。
メジャー移籍1年目の2014年から先発ローテーションの柱として活躍し、2019年まで6年連続で2桁勝利を挙げるという安定感を見せました。
契約期間中の年俸は一貫して2200万ドル(約33億円)であり、当時の日本人投手としては最高額でした。
田中将大選手がヤンキースという名門球団で長期にわたり活躍できたのは、技術だけでなく、大舞台でのプレッシャーにも動じない精神力の賜物でしょう。
2020年シーズン終了後にFAとなり、古巣の楽天イーグルスに復帰しましたが、彼のMLBでの安定した活躍は日本人投手の地位向上に大きく貢献したと思います。
4位:菊池雄星
画像引用元:full-Count
- 最高年俸:2122万5000ドル(約31.8億円)
- 対象年度:2025年-2027年
- 所属チーム:ロサンゼルス・エンゼルス
NPB埼玉西武ライオンズから2019年にシアトル・マリナーズへ移籍した菊池雄星選手。
その後トロント・ブルージェイズ、ヒューストン・アストロズを経て、2024年オフにFAとなり、ロサンゼルス・エンゼルスと3年総額6367万5000ドル(約98.7億円)の契約を結びました。
この契約により、2025年からの年俸は2122万5000ドル(約31.8億円)となり、日本人選手歴代4位にランクインしました。
ブルージェイズ在籍時の2023年には自己最多の11勝を挙げるなど、近年パフォーマンスを向上させており、エンゼルスでは先発ローテーションの柱としての活躍が期待されています。
菊池選手はMLB初期こそ苦戦しましたが、年々成長を続け、今や信頼できる先発投手としての地位を確立しています。
彼のように長期的な視点で成長を続けられる選手は貴重だと感じます。
5位:鈴木誠也
画像引用元:full-Count
- 最高年俸:2000万ドル(約30億円)
- 対象年度:2024年
- 所属チーム:シカゴ・カブス
NPB広島東洋カープの主砲として活躍後、2022年にシカゴ・カブスと5年総額8500万ドル(約127.5億円)で契約した鈴木誠也選手。
2024年には契約中の最高年俸2000万ドル(約30億円)に到達し、日本人野手としては高額な年俸を獲得しています。
メジャー移籍後も安定した打撃と外野守備でチームに貢献し、日本人野手の新たな可能性を示しています。強肩強打の外野手として、日本での評価がそのままMLBでも通用している点は非常に素晴らしいと思います。
日本人メジャーリーガー歴代年棒6位~10位
ランキング6位から10位には、MLBで確かな実績を残した選手たちが名を連ねています。彼らの活躍と契約内容を見ていきましょう。
6位:イチロー
画像引用元:full-Count
- 最高年俸:1800万ドル(約27億円)
- 対象年度:2009年-2011年
- 所属チーム:シアトル・マリナーズ
MLB史に名を刻む安打製造機であり、日本人野手のパイオニア的存在。
2001年の衝撃的なデビュー後、シアトル・マリナーズの中心選手として活躍しました。
2007年オフに結んだ5年9000万ドルの契約により、2008年から2012年まで年俸1800万ドル(約27億円)を得ていました。
これは当時の日本人選手としては最高額であり、イチロー選手のMLBにおける価値の高さを物語っています。
10年連続200安打、10年連続ゴールドグラブ賞など数々の記録を樹立した彼の実績は、今なお日本人選手の目標となっています。
イチロー選手が切り開いた道があったからこそ、今の日本人選手たちのMLBでの活躍があると言っても過言ではないでしょう。
1800万ドルという数字は現在の基準では大きくはないかもしれませんが、当時のMLB全体の水準から見れば非常に高額な契約だったのです。
6位:吉田正尚
画像引用元:full-Count
- 最高年俸:1800万ドル(約27億円)
- 対象年度:2023年-2027年
- 所属チーム:ボストン・レッドソックス
NPBオリックス・バファローズで2度の首位打者、最高出塁率を獲得するなど、卓越した打撃技術を誇る吉田正尚選手。
2022年オフにポスティングシステムを利用し、ボストン・レッドソックスと5年総額9000万ドル(約135億円)で契約しました。
契約期間中の年俸は一貫して1800万ドル(約27億円)に設定されており、これも日本人野手としてはトップクラスの年俸です。
メジャー1年目の2023年からレギュラーとして活躍し、日本人左打者としての新たな可能性を示しています。
吉田正尚選手のような純粋な打撃技術が高い評価を受けたことが嬉しいですね。
これまで日本人野手はスピードや守備力を武器とするタイプが多かったですが、パワーヒッターとしての価値を示せたことは、今後の日本人選手の可能性を広げることになるでしょう。
8位:黒田博樹
画像引用元:full-Count
- 最高年俸:1600万ドル(約24億円)
- 対象年度:2014年
- 所属チーム:ニューヨーク・ヤンキース
33歳でMLB挑戦後、ドジャース、ヤンキースで安定した成績を残した先発右腕。
特にヤンキース在籍時には4年連続で2桁勝利、規定投球回をクリアするなど、タフさと安定感を証明しました。
ヤンキースとの契約最終年となった2014年に、自己最高となる年俸1600万ドル(約24億円)を得ました。
30代後半でありながらこれだけの評価を受けたことは、彼の技術と精神力の高さを物語っています。
黒田正樹選手の真摯な姿勢と揺るがない投球スタイルは、日本人投手の信頼性を示す大きな実績となりました。
彼が示した「年齢に関係なく成長し続ける」姿勢は、多くの投手にとって良いお手本となったのではないでしょうか。
9位:千賀滉大
画像引用元:中日新聞
- 最高年俸:1500万ドル(約22.5億円)
- 対象年度:2023年-2027年
- 所属チーム:ニューヨーク・メッツ
NPB福岡ソフトバンクホークスから海外FA権を行使し、2023年にニューヨーク・メッツと5年総額7500万ドルで契約した千賀滉大選手。
契約期間中のベース年俸は1500万ドル(約22.5億円)です。
「お化けフォーク」を武器に、メジャー1年目の2023年から先発ローテーションの一角として活躍し、新人王投票で2位に入るなど高い評価を得ています。
契約には2025年シーズン終了後に契約を破棄できるオプトアウト権が含まれており、さらなる飛躍の可能性も秘めています。
千賀滉大選手の特徴的なピッチングスタイルがMLBでも通用していることは、日本の投手育成の質の高さを示していると感じます。
彼の活躍は日本のプロ野球の価値向上にも貢献していると言えるでしょう。
10位:福留孝介
画像引用元:ベースボールONLINE
- 最高年俸:1450万ドル(約21.8億円)
- 対象年度:2010年
- 所属チーム:シカゴ・カブス
NPB中日ドラゴンズからFAで、2008年にシカゴ・カブスと4年総額4800万ドルで契約した福留孝介選手。
契約3年目の2010年に最高年俸1450万ドル(約21.8億円)に達しました。
福留孝介選手は日本での実績を買われての高額契約でしたが、MLBでの成績は期待ほどではありませんでした。
それでも、長きにわたってメジャーリーグで活躍し、日本人野手の地位向上に貢献した功績は大きいと思います。
日本人メジャーリーガー歴代年棒11位~30位
ランキング11位以下には、各時代でMLBに挑戦し、それぞれの形で成功を収めた選手たちが並んでいます。
順位 | 選手名 | 最高年俸(USD) | 年度 | 所属チーム(当時) |
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11位 | 山本 由伸 | 1416万ドル | 2025年 | ロサンゼルス・ドジャース |
12位 | 岩隈 久志 | 1400万ドル | 2017年 | シアトル・マリナーズ |
13位 | 今永 昇太 | 1325万ドル | 2015年 | シカゴ・カブス |
14位 | 松井 秀喜 | 1300万ドル | 2006年-09年 | ニューヨーク・ヤンキース |
14位 | 菅野 智之 | 1300万ドル | 2025年 | ボルチモア・オリオールズ |
16位 | 前田 健太 | 1202.5万ドル | 2016年 | ロサンゼルス・ドジャース |
17位 | 松坂 大輔 | 1033.3万ドル | 2011年 | ボストン・レッドソックス |
18位 | 野茂 英雄 | 900万ドル | 2004年 | ロサンゼルス・ドジャース |
18位 | 上原 浩治 | 900万ドル | 2011-16年 | ボストン・レッドソックス |
20位 | 川上 憲伸 | 833.4万ドル | 2009年 | アトランタ・ブレーブス |
21位 | 松井 稼頭央 | 803.3万ドル | 2006年 | ニューヨーク・メッツ/コロラド・ロッキース |
22位 | 佐々木 主浩 | 800万ドル | 2003年 | シアトル・マリナーズ |
22位 | 秋山 翔吾 | 800万ドル | 2022年 | シンシナティ・レッズ/サンディエゴ・パドレス |
24位 | 城島 健司 | 766.7万ドル | 2009年 | シアトル・マリナーズ |
25位 | 田澤 純一 | 700万ドル | 2018年 | マイアミ・マーリンズ/ロサンゼルス・エンゼルス |
26位 | 筒香 嘉智 | 700万ドル | 2021年 | レイズ/ドジャース/パイレーツ |
27位 | 佐々木 朗希 | 650万ドル | 2025年 | ロサンゼルス・ドジャース |
28位 | 青木 宣親 | 620万ドル | 2016年 | シアトル・マリナーズ |
29位 | 松井 裕樹 | 550万ドル | 2025年 | サンディエゴ・パドレス |
30位 | 岩村 明憲 | 485万ドル | 2010年 | ピッツバーグ・パイレーツ/オークランド・アスレチックス |
これ以外にも、高橋尚成選手(420万ドル)、和田毅選手(420万ドル)、井川慶選手(400万ドル)、井口資仁選手(385万ドル)、有原航平選手(360万ドル)らMLBで活躍した選手が上位にランクインしています。
彼らは様々な形でMLBに貢献し、日本人選手の価値を高めてきました。
まとめ
以上が、日本人メジャーリーガーの歴代最高年俸ランキングトップ30を詳しく解説してきました。最後に簡単にポイントをまとめてみたいと思います。
- 市場価値の急上昇: 大谷翔平選手の平均年俸7000万ドルは、イチロー選手の最高年俸1800万ドルの約4倍に相当し、日本人選手の市場価値が急上昇していることを示しています。
- 契約構造の多様化: 単純な年俸だけでなく、大谷翔平選手の後払い契約や山本選手のバックロード契約など、契約構造も多様化しています。これはMLBの経済システムと密接に関連しています。
- 先駆者たちの功績: イチロー選手や松井秀喜選手らの先駆者たちが築いた信頼と実績が、後続の選手たちがより有利な条件で契約を結ぶための礎となりました。
- 投手の高評価: ランキング上位に投手が多い傾向があり、特に日本人投手の技術と精神力がMLBで高く評価されていることがわかります。
- 野手の台頭: 鈴木誠也選手や吉田正尚選手のように、近年は野手も高額契約を勝ち取るようになってきており、日本人野手の評価も着実に向上しています。
MLBにおける日本人選手の年俸の推移は、彼らの技術的な評価を数字で表したものとも言えます。
野茂英雄選手やイチロー選手、松井選手が切り開いた道を、現在の選手たちがさらに広げ、高みへと押し上げていることがよく分かります。
大谷翔平選手や山本由伸選手の歴史的な契約は、単に彼ら個人の評価にとどまらず、MLBの経済構造にも影響を与える規模に達しています。
特に大谷翔平選手の「後払い」契約は、チーム編成における新たな戦略としても注目されています。
また、絶対的な金額の比較だけでなく、当時のMLB全体の年俸水準と比較したときの相対的な価値も重要です。
例えば、イチロー選手の1800万ドルは、当時のMLB最高年俸の約64%に相当する非常に高い水準でした。
今後も日本からは優れた才能が継続的にMLBへと供給されていくでしょうね。
大谷翔平選手や山本由伸選手の成功は、次世代の日本人選手に対する期待値をさらに高め、新たな高額契約の可能性を開いています。
最終的に、これらの高額年俸は、異国の地でプレッシャーと戦いながら最高レベルのパフォーマンスを発揮する選手たちの技術、精神力、そして彼らがリーグにもたらす価値の証明なのです。
彼らの挑戦と成功の物語は、これからも多くのファンを魅了し続けることでしょう。