東北楽天ゴールデンイーグルスのエースとして長年チームを支えてきた則本昂大選手が、2024年シーズンから抑え投手へと転向したことが話題になっています。
プロ12年目にして先発から守護神という大きな役割転換は、球界でも注目を集める出来事でした。
その背景には、守護神・松井裕樹選手のメジャー移籍や、則本昂大選手自身の奪三振能力への期待、そして今江敏晃監督からの信頼がありました。
この記事では、なぜ則本昂大選手が抑えに抜擢されたのか、その理由や狙い、さらに転向によるメリットや課題を詳しく解説。
さらに、新たなポジションでの1年目となる2024年シーズンに則本昂大選手がどのような成果を収めたのかも掘り下げていきます。
この記事を読むことで、則本昂大選手が新守護神としてどのようにチームを支え、新たな役割を全うしようとしているのかを理解できるはずです。
プロ野球ファン必見の内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。
Contents
則本昂大が抑えに転向した理由
画像引用元:BASEBALL KING
プロ12年目にして先発から抑えに転向した則本昂大選手。
楽天に入団以来、先発投手として活躍してきた彼にとって、抑えへの転向は野球人生の中で大きな転機となりました。
ここでは、則本昂大選手が抑えに転向した理由を解説していきます。
- 守護神・松井裕樹のメジャー移籍がきっかけ
- 則本昂大の適性が評価された背景
先発投手へのこだわりを捨て、抑えへの転向を快諾した則本昂大選手の覚悟と決断にも注目です。
守護神・松井裕樹のメジャー移籍がきっかけ
則本昂大選手が抑えに転向したきっかけとして、楽天イーグルスの守護神・松井裕樹選手がメジャーリーグに移籍したことが挙げられます。
2023年まで、長きにわたり抑えを務めてきた松井裕樹選手は、2023年12月にサンディエゴ・パドレスへの移籍を発表。
松井裕樹投手は、NPB(日本プロ野球)通算236セーブを記録しており、彼の移籍によりチームは新たな守護神を必要としていました。
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そして、そのポジションを埋めるべく、則本昂大選手が新たな抑えに抜擢されたのです。
則本昂大選手は、松井裕樹選手の後を受けて抑えに挑戦することを決意。
プロ12年目を迎えた彼は、これまでの経験を活かして「打者を圧倒して九回を支配したい」と、語っています。
「打者を圧倒して九回を支配したい。パドレスに移籍した松井裕樹が抑え1年目(2015年)に挙げた33セーブにも並びたい。最低でも1年間は抑えを剝奪されないように。若いころは先発にこだわっていたので抑えを要請されたら断っただろうけど、今は通算100セーブを達成したいと思っています」
引用:サンスポ
また、則本昂大選手は松井裕樹選手の存在が大きかったことを認めており、彼が渡米する前には、クローザーとしてのアドバイスを受けていたと言います。
「先発、抑えを経験してますから、渡米前にいろいろ話は聞きました。一つは、『やることは変わらないから、そんなに特別に意識を持つ必要はないですよ』と。その通りにやろうかなって感じです」
引用:日刊ゲンダイ
こうして、松井裕樹選手が抜けた抑えのポジションを託された則本昂大選手は「30セーブ以上はしたい」という具体的な目標を掲げ、抑え投手としての新シーズンに臨むこととなるのです。
則本昂大の適性が評価された背景
則本昂大選手の抑え投手としての適性は、2024年シーズンに楽天イーグルスの監督を務めた、今江敏晃氏によって見出されました。
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今江敏晃監督は、則本昂大選手の能力を高く評価し、抑えの役割を打診します。
則本昂大選手自身もこの新しい挑戦に対して迷いはなく、監督の熱意が伝わってきたと語っています。
「正式に任せられる中で、今江監督の考え、熱意がすごく伝わってきた」
引用:Fun! J:COM
則本昂大選手の抑え投手としての適性について、最も重要視されたのが「奪三振能力」です。
彼は入団2年目から5年連続で最多奪三振のタイトルを獲得しており、この能力が抑えとしての役割においても大いに活かされると期待されました。
また、今江敏晃監督は則本昂大選手に対して「(抑えであれば)1イニング全力で投げることができる」とし、抑え投手への配置転換をすることで、彼のピッチングの良さをさらに引き出せると考えます。
「クローザーとして1イニング思い切って腕を振るということをすることによって、また彼の良さが出るんじゃないかな」
引用:中日スポーツ
さらに、則本昂大選手は「弱気は最大の敵」という信条を持っており、この安定したメンタリティも抑え投手の適性として評価されました。
このように、今江敏晃監督は則本昂大選手の抑え投手としての適性を高く評価しており、松井裕樹選手がメジャー移籍を果たしたタイミングで、彼を楽天イーグルスの守護神へと抜擢したのです。
則本昂大の抑え転向のメリットと課題
画像引用元:楽天イーグルス
抑え投手として新たなシーズンに挑戦した則本昂大選手。
そこには、チームに与えるメリットだけでなく、課題やリスクも潜んでいました。
ここでは、則本昂大選手が抑えに転向したことによるメリットと課題を詳しく解説していきます。
抑えとしてのメリット
則本昂大選手が抑えへ転向することで、チームにとってさまざまなメリットが期待されています。
そのポイントを詳しく見てみましょう。
1.豊富な経験を活かした起用
則本昂大選手は、これまで先発投手としてチームを支えてきた経験豊富な選手です。その経験値は、試合終盤という緊迫した場面で大きな武器になります。
特に、クローザーは1球のミスが勝敗を分けるだけに、冷静な判断力やプレッシャーに強いメンタルは欠かせません。則本昂大選手のこれまでの実績は、まさにその役割に適任といえるでしょう。
2.奪三振能力の復活
則本昂大選手といえば、力強い直球と鋭い変化球で数々の三振を奪ってきたイメージがあります。しかし、先発として長いイニングを投げる中で、全力を発揮しづらい場面もあったはずです。
クローザーとして短いイニングに集中することで、かつての奪三振力を取り戻す可能性があります。実際、リリーフ転向後に三振率が向上した投手は過去にも存在し、則本昂大選手もその恩恵を受けることが期待されました。
3.勝利を確実にする存在
クローザーは、試合を勝利で締めくくる「最後の砦」です。昨シーズン、楽天の先発投手陣がやや不安定な場面も多かった中で、試合を締める存在がいることはチーム全体の安定感を高めます。
則本昂大選手が後ろに控えていることで、中継ぎ陣にも余裕が生まれ、投手リレーの質が向上していくでしょう。
4.チームの士気向上
則本昂大選手のクローザー転向は、チーム全体に良い刺激を与えるはずです。彼の実績とプロ意識は、特に若手選手にとって大きなお手本となります。
また、彼が最後を任されることで、選手たちが安心してそれぞれの役割に集中できる環境が生まれ、チーム全体のパフォーマンス向上にもつながるでしょう。
このように、則本昂大選手の抑え転向は、楽天イーグルスに新たな可能性をもたらします。
彼の能力を最大限に活かすことで、チームの勝率アップと競争力の向上が期待されるでしょう。
課題とリスク
則本昂大選手が先発投手から抑え投手へと転向したことは、チームに多くのメリットをもたらしました。
一方で、この転向にはいくつかの課題やリスクも伴っていたことは見逃せません。
以下では、具体的な課題とリスクを整理しながら、彼の挑戦を掘り下げていきます。
まずは、抑え転向による主な課題を見ていきましょう。
- 新しい役割への適応
抑え投手は試合終盤に登板し、勝利を確定させる重要な役割を担います。これまで長年先発として活躍してきた則本昂大選手にとって、短いイニングに集中し、常に結果が求められるプレッシャーへの対応は新たな挑戦でした。抑え投手としては、一瞬のミスが勝敗を分けるだけに、メンタル面での調整がこれまで以上に求められました。
- 投球スタイルの再構築
先発投手が試合を通じて打者を攻略するのに対し、抑え投手は1イニングの全力勝負が中心です。そのため、則本昂大選手には攻撃的な投球スタイルへの変化が求められました。特に、ストレートの威力強化や変化球の使い方の再考が必要で、いかに相手打者を一瞬で仕留めるかがカギとなりました。
- 体力と持久力の管理
抑え投手は連投が続く場面も多く、短期間での疲労回復がパフォーマンス維持の要となります。長いイニングを投げてきた先発時代とは異なり、則本昂大選手には「短くても濃密な負荷」を前提とした調整法が求められました。特に、連投時の疲労管理や試合間のケアが重要なポイントとなります。
画像引用元:BASEBALL KING
次に、抑え転向による主なリスクを見ていきましょう。
- パフォーマンスの不安定性
役割の変更によって多くの選手が初年度に苦戦することは珍しくありません。過去の例を振り返ると、先発からリリーフに転向した選手の中には、適応に苦しむケースも少なくありませんでした。則本昂大選手もそのリスクを抱えながら、前例を参考に慎重に取り組む必要がありました。
- 怪我のリスク
短いイニングでの全力投球は投手に新たな負担をかける可能性があります。過去に肘の手術を受けている則本昂大選手にとって、役割変更が怪我の再発リスクを高める懸念は無視できません。負担を軽減しつつ最大限のパフォーマンスを発揮するためには、慎重な起用法と自身のコンディション管理が不可欠でした。
- メンタル面への影響
抑え投手はチームの勝敗を背負う立場であり、失敗が続くとメンタル面に大きな影響を与えます。特に、クローザーとしての役割に馴染むまでにどれだけ精神的な強さを維持できるかが、則本昂大選手にとって重要なポイントでした。
こうした課題やリスクを乗り越えたからこそ、則本昂大選手は2024年シーズンに「32セーブ」という結果を残すことができたのではないでしょうか。
新たな挑戦への適応と成長が、その数字に裏付けられています。
則本昂大の抑え転向後の成果
画像引用元:楽天イーグルス
則本昂大選手は、2024年シーズンから抑えに転向し、54試合に登板。3勝4敗、32セーブ、4ホールドという見事な成績を収めています。
この結果、則本昂大選手はリーグ最多セーブのタイトルを獲得。初めての「セーブ王」に輝きました。
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さらに、最多セーブのタイトルだけでなく、奪空振り率の向上も抑え転向後の大きな成果の一つです。
2024年シーズン、則本昂大選手のストレートの平均球速は前年から3.7キロアップし、150キロに達します。
その影響もあり、空振り率はリーグ平均の6.6%を大きく上回る9.0%を記録。彼の持ち味である三振を奪う能力が復活したことを証明しました。
則本昂大選手は最多セーブのタイトル獲得を受け、チームメートや首脳陣をはじめとするサポートスタッフへの感謝の気持ちを語っています。
「最多セーブのタイトルは、自分だけの力で獲ることはできない、チームメイトや首脳陣、トレーナーやブルペンキャッチャー、他にもたくさんの人達のサポートがあってこそ獲得できた、いわばみんなで獲ったタイトルだと思いますので、そこがすごく嬉しいです」
また、則本昂大選手は「来年も抑えをやりたい」と語り、来シーズンも引き続きクローザーとしての活躍を希望していることを明言。
今後のさらなる活躍に期待が寄せられています。
なぜ楽天は抑えに則本昂大を選んだのか?
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楽天が則本昂大選手を抑え投手に起用した背景には、彼の豊富な経験と圧倒的な実績が大きく関係しています。
則本昂大選手は入団以来、先発投手として数々の成功を収め、特に奪三振能力において卓越した才能を発揮してきました。
彼は入団2年目から5年連続で最多奪三振のタイトルを獲得しており、この圧倒的な三振奪取力は、試合の最終局面で相手打者を封じ込める抑え投手としても非常に重要な武器となります。
また、今江敏晃監督は、則本昂大選手を新守護神に任命した狙いについて、「いろんな経験もして、すごい成績を出してきた選手」と述べており、彼の能力を高く評価しました。
「いろんな経験もして、すごい成績を出してきた選手。球場も盛り上がるし、相手チームに対しても圧力をかけられる」
引用:パシフィック・リーグ
この発言からも、今江敏晃監督が、則本昂大選手の持つ勝負強さやカリスマ性を高く評価していることがわかります。
さらに、則本昂大選手自身も新ポジションへの挑戦を前向きに捉えています。
チームの新体制に応えるべく、クローザーとして全力を尽くす覚悟を語りました。
「来シーズンは、今江監督からの要請を受けまして、クローザーを務めたいと思います。チームも新体制となりますし、何より監督の想いに応えたいと思い、新しいポジションへのチャレンジを決めました」
また、楽天としてもチーム全体の戦力バランスを考えた上での決断でした。
則本昂大選手を抑えに据えることで、先発陣の若返りを図り、若手投手に成長の機会を与える狙いがあるといいます。この配置転換による、チーム全体の底上げがその狙いだったのでしょう。
こうした則本昂大選手の実績、意欲、そしてチームの戦略が重なり、彼が抑え投手として選ばれる結果となりました。
来シーズンに向け、則本昂大選手のさらなる進化に注目が集まります。
則本昂大のプロフィール
画像引用元:Yahoo!ニュース
則本昂大のプロフィールは以下の通りです。
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まとめ
則本昂大選手の抑え転向は、松井裕樹選手のメジャー移籍を受けて決断されたものでした。
これまで先発として数々の実績を積み上げてきた則本昂大選手は、新たな役割を任される中で持ち前の奪三振能力や豊富な経験を最大限に発揮。
2024年シーズンには32セーブを挙げる活躍を見せ、チームの勝利に大きく貢献します。
この新たな挑戦には、役割への適応や連投による体力管理といった課題も伴いましたが、「九回を支配したい」という強い覚悟でそれを乗り越えてきました。
また、彼の存在は若手選手への良い刺激となり、チーム全体の士気向上にも大きな影響を与えたようです。
楽天イーグルスの新守護神として、則本昂大選手が見せるさらなる成長と進化に、これからも注目が集まります。